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はじまりの日

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【馬から学ぶ子育て】覚醒とフォーカス


今回は『覚醒とフォーカス』というコンセプトについて学んだことを書きます。

このコンセプトがわたし含む参加者たちに伝えられたのは、馬リトリート開始から4日目のことでした。
伝えられたといってもレッスン開始時に「今日のコンセプトは○○です」というアナウンスはありません。
馬リトリート前半(2週間)の第一週目は、午前に各組2名ずつが2時間ずつ交代で馬のレッスンを受け、
その後由紀子さん宅で、スムージーを飲んだ後に、ヨガ→呼吸法→瞑想をして身体と心を静め、
最後に由紀子さんから提供されるその日のコンセプトに沿ってそれぞれの気付きや感想をシェアする、
というのがだいたいの馬リトリートの内容(一日の流れ)となっていました。

そして馬リトリート第4日目といえば、『【馬から学ぶ子育て】段階を経た指示』で書いたように、
オードリーとの引き馬体験で、自分の弱さや甘さ、偽りの優しさなどに気付いたほろ苦い日。
その日、瞑想まで終えて、由紀子さんから『覚醒とフォーカス』というコンセプトが提示され、
それについて馬とのセッションで気づいたこと・学んだことなどの感想を求められたのですが、
参加者それぞれが答えていく中で、わたしは自分のことで頭がいっぱいで、それを出してしまいたくて、
コンセプトにそぐわない感想を述べようとして注意を受けました。それで気づいてしまいました。

頭だけで考えたり、感情に振り回されたり、周りの目が気になったり、それがわたしでした。
自分・自分・自分。周りを見回す余裕もなければ、目の前のことに集中することもできていない。
『覚醒とフォーカス』というコンセプトからは程遠いところにいるわたしがそこにはいたのでした。

正直ショックを受けました。それまで自己の為でなく他者の為に生きてきたと信じ込んでいたからです。
それに加えて、周りを見回す余裕もなければ、目の前のことに集中することもできていない傾向が
そのままその時の息子にも現れていたことに気付いてしまったから。息子に申し訳なかったです。

由紀子さんのすごいところは、本当になにもかもただそのままを受け入れてジャッジをしないところで、
そんなわたしも正すところは教えられましたが、それが悪いわけではなくてオンオフができたらいいね、
というようなことを言っていただいて、ショックは受けつつもそこに囚われすぎずに済んだのでした。

とはいえ、そんな状態にいたわたしがそこからどうやって『覚醒とフォーカス』を学んでいけるのか。

やっぱり馬が教えてくれました。
ショックを受けている暇なんてないくらい、馬からの学びは早いのでした。

引き馬の体験からももちろん学べたのですが、
それよりもさらにぐっと『覚醒とフォーカス』の状態を教えてくれたのが、馬に乗ることでした。
馬に乗るようになって、嫌でも覚醒とフォーカスの状態にならないといけなくなりました。
そうしないと大ケガしたり、最悪な場合は命に係わることだってあるかもしれないからです。
【馬から学ぶ子育て】覚醒とフォーカス_e0269946_4444082.jpg
丸馬場のなかで歩く練習をしたあとに馬に乗ったままそこから外へ出ていくというとき、
何も考えずにぼーっとしていたら金属製のゲート上部に自分の頭をぶつけてしまいます。
出入りの時、意識は馬に繋いだまま観念と体でコンタクトを取り合いゆっくり歩かせて、
一旦ゲートの前で停止させてから自分の頭を下げて柵の下をくぐることが必要なのです。
これは意識は馬にフォーカスしつつ、周りを覚醒した状態でみていないと出来ないことでした。
最初の頃はぼーっとしていたわたしも、何度もそういう状況を体験させてもらうことで体で嫌でも覚えました。

大分乗れるようになってきたリトリート中盤くらいからは、何度か由紀子さんと一緒に庭でライドしました。
由紀子さんがマハティに乗って、わたしがサニーに乗ってというかたちが多かったのですが、
5エーカーはあるという由紀子さんのお宅の土地の長方形の2辺は木々が多い茂っていて、
由紀子さんは後ろについてきているわたしが初心者なのもはじめてそんな場所へ行くのもお構いなしに、
躊躇なく、まるでトレイルライド(外乗)をするように、その中にザクザク入っていったりしました。
一応「枝に気を付けて」などの声掛けはしてくださったのですが、気付いてから対応したのでは遅すぎで、
自分でもちゃんと気を張って、自分の身と自分の馬は自分で守ることを常に意識する必要がありました。
木々の間をすり抜け、太い枝に接触しないよう環境をよく確認し、足元のコンディションにも注意を払い、
それでいてなおかつ馬にコンタクトを送り、馬から送られてくるコンタクトもキャッチしなければいけません。
自然のなかではどんなアクシデントが突発的に起こるかはわからないのが当然のこと。
生きるか死ぬかのサバイバルモードに置かれたら感覚が研ぎ澄まされていきます。人間も動物です。

こんなことを繰り返し経験していくうちに、馬の気持ちがなんとなくわかるようになっていきました。
(とわたしは思っているのですが、感覚的なことで確かめようがないのでわたしの思い込みかもしれません)

ある日の夕方、息子と畑仕事をしていたら、少し離れた場所にいたオードリーの声が聞こえました。
鳴き声じゃなくて「水が飲みたいの」という気持ちがまっすぐわたしのなかに飛び込んできた感じがして、
馬たちの水飲み場に行ってみると桶の中の水がかなり少なくなっているのを発見しました。
大きな桶を洗って残り水を流しすすいだ後に綺麗な水をたっぷり入れてあげることが出来たとき、
なぜかはわかりませんが、わたし自身がとてもしあわせで満たされた気持ちになりました。
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一緒にいた息子もものすごく穏やかな状態になっていて、いつもの不安そうな様子が消えていました。
わたしの頭の中のざわめきが消えていて、彼と共鳴し合っているような一体感がありました。
桶から流した残り水で足元の土がドロドロになってしまっていたのですが、
感触の変化に敏感な息子が、安心感の元でこどもらしさを存分に楽しめる気持ちになったのか、
短時間でしたが、足裏を汚して泥の感覚を、自分の感覚を確かめるように遊びだしたのでした。
わたしは馬たちから感覚を開くことを教えてもらい、息子と繋がる感覚を思い出させてもらいました。

もうひとつ、わたしにとっての宝物になっている思い出があります。
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わたしはいつかサニーを馬房のなかではなくて、彼がいるその場でロープをつけたいと思っていました。
というのはリードロープを手に持って近づいて行くと、わたしと彼との間に結構な距離があったとしても、
サニーはすぐさまわたしの気配を察知するのか歩き出して(逃げて)馬房にはいってしまっていたのです。
馬の気持ちがわかるようになった気がしてきていたある日、馬装(鞍などをつけること)をするために
リードロープをもってサニーを探しに行くと、木々の中でリラックスしている彼を発見しました。
その時わたしの頭のざわめきはオフになっていて、ロープは持っていても身体全体はゆるんでいて、
空の青さや木々の緑などに目をやりつつも、こころというか気持ちはサニーと繋がっている感覚でいました。
その歩みの速さでだったらいいよ、それ以上は今は待って、うん、きてもいいよ。
そんな声がサニーから聞こえてきた気がして、全体が見えていながらサニーだけと繋がっている感覚で、
本当に驚くほどにすんなりすーっとサニーにその場でロープをつけることができたのでした。
しかも自ら顔をロープの中にいれてくれて。あの時のあの感覚、わたしは一生忘れたくありません。

『覚醒とフォーカス』というコンセプトはなかなか自然から切り離された日常生活からは学べないことです。
しかし本来誰しもが持っていた能力なのだと思います。馬たちはそれを思い出させてくれました。
わたしがそれを体で覚えていくことで、それまでのわたしのこころの状態を写し取っていた息子も、
帰国するころには本来彼が持っていた集中力を取り戻し、かなり落ち着いた状態になっていました。
そう、親ばかで申し訳ないのですが、本当の息子は好奇心旺盛で物事に深く集中できる子なのです。
親であるわたしがそれを発揮できない状態にさせていただけ。親のこころの在り方次第なのですね。

『覚醒とフォーカス』の最終仕上げは馬リトリート最終週に連れて行ってもらったトレイルライドでしょうか。
ラスティさんの牧場で、由紀子さんに下乗りしてもらった馬に乗ってちょっとした外乗にいきましたが、
まったくもって初対面の馬、初めてのウェスタンの鞍(由紀子さんのおうちではブリティッシュの鞍使用)、
初めての場所、そこは本当の自然の中で、しかもヘルメットを持ってくるのを忘れたというおまけつき。
馬を一度も怖いと思ったことがないわたしですが、さすがに結構緊張しました。
なにがなんやら、でも行くしかない状況で、とにかく馬と繋がるように意識して、かつ全体を見る必要あり。
自分のイメージ通りにできた!という満足感は正直ほとんどなかったのですが、
『覚醒とフォーカス』というコンセプトを強く再確認するよいライド体験になりました。
いつかリトライしたいです!

わたしが馬リトリートの体験から『覚醒とフォーカス』という思考の状態を理解できるようになった今、
きっと息子は鏡が写し取るように覚醒することとフォーカスすることをわたしから学んでいくと思います。
これは学力などでははかれない、本当の意味での生きる力になってくれると信じています。
その感覚をわたしも忘れないように、息子のそれもますます研ぎ澄まされていくように、
馬リトリートが終わってしまったこれからも、できるだけ自然の中に出かけていこうと思っています。

馬たちと共鳴し合ったあの時間、ずっとずっと忘れません。

・ ・ ・ ・ ・

学んだことがたくさんあって、まだまだ馬リトリートの記録は続いていきそうです。
次は『リーダーシップ』について書こうと思います~


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by kakachan19 | 2014-09-08 04:44 | ■テキサス馬リトリート(2014)