わたしが小学生の高学年だった頃に祖母が戦争の話をしてくれました。
一緒に聞いていた父は神妙な面持ちでうんうんとうなずいていたのですが、
わたしは何の実感もわかず、ふーんと聞き流すような態度をとっていました。
祖母は戦争がどれだけ悲惨でむごい経験だったかをこんこんと話し、
今の世のしあわせさを当たり前だと思わず先人に感謝しましょうね、といった
趣旨のことを話していたと思いますが、わたしはなんと
「そんなの知らない。わたしには関係ない。」
と言ってしまったのです。なぜだか鮮明に覚えているのです。
祖母の表情が本当に悲しそうで強い罪悪感を持ったからかもしれません。
母のいないわたしにとって、祖母は母親の情を感じさせてくれる存在でした。
そんな祖母も数年前に天国にいってしまいました。
息子をみせてあげられなかったのが、本当に残念でなりません…
先日、父と祖母の思い出を話していたのですが、
「おばあちゃんが学生だった頃は、町の電線に死体がぶら下がってた。
それがおばあちゃんたちの青春時代だったんだよ。」
父の口からこぼれ落ちたその言葉にわたしは涙がでそうになりました。
大人になって経験が増え、息子が生まれて命の眩しさと大切さに毎日ふれ、
わたしの中に自分のルーツに特別な思いを寄せ大切に思う気持ちが芽生えました。
脈々と受け継がれてきた命の話、息子にしっかり伝えていきたいし、
これからの子どもたちが紡いでいく新しい命の話も楽しみにしたいです。
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帽子星人現る。おかあさんの帽子なんですけど…
今日はタイムリーなことにお昼から父が息子の顔を見に来てくれました。
高速道路を使って1時間もかかるのに…わが父親ながらタフです。
息子は顔も性格もわたしの父にそっくりで、
父はそんなところも手伝って息子に深い愛情を注いでくれています。
「不思議だなぁ。俺と同じ顔だなぁ。命がつながっているなぁ。
おばあちゃんにいっくんを見せてあげたかったなぁ。」
来るたびにそう言いながら、本当に不思議そうな顔をしたり、
頬を緩めて息子を抱き上げている父を見ているとわたしもしあわせです。
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